きびきび忌引き
「あのさぁ、葬式とか出るときって何着ていったらいいの?」と、先日友人のたけしと話していた。
「黒いスーツじゃないの?」とたけしは言った。
「そうなんだよね、でもそれってちょっとつまらないじゃない?もっとおしゃれに行きたいよ」と私は答えた。
すると、たけしはニヤリと笑って「じゃあ、きびきび忌引きってのをやろうぜ」と言った。
「きびきび忌引きって何だよ」と私は訊いた。
「葬式に黒スーツを着るのはちょっとつまらないって言うじゃん?だったら、ハワイアンシャツとサングラスでいこうぜ。きびきび忌引きってやつだよ」とたけしは説明した。
私は最初は少し戸惑ったが、考えてみるとなかなかいいアイデアだと思った。そして、たけしと共にきびきび忌引きの準備を始めた。
当日、私たちは黒いスーツではなく、色とりどりのハワイアンシャツを着て、サングラスをかけて葬式にやってきた。初めは周りの人々から不思議そうな目で見られたが、次第に私たちの姿勢に共感する人が現れた。
「この人たち、きっと亡くなった人を悲しませることが嫌で、自分たちの個性的なスタイルで故人を送り出そうとしてるんだ」というような解釈が広まったのだ。
そんな私たちに対し、先日の葬儀に参列していた芸人のこういちさんは、「おいおい、お前らそれ、きびきび忌引きっていうのか?まさか、新しい漫才のネタを考えてるわけじゃないだろうな」と笑いながら言った。
それを聞いた私たちは思わず目を合わせて笑ってしまった。
たけしは、「次はどこに行こうか?」と聞いてきた。
私たちは、笑いながら次の場所を探し始めた。